主な研究テーマとして、「受精前後における遺伝子発現リプログラミング」とその後の「着床前初期発生期における遺伝子発現プログラムの調節機構」に関しての研究に取り組んでいる。
生命の誕生は、卵と精子が接合し受精卵(胚)を生じることから始まるが、その際、遺伝子発現のリプログラミングが起こると考えられている。すなわち、受精前の卵(卵母細胞)は分化した細胞であり減数分裂特異的な遺伝子発現を行っている。一方、受精後の胚はどのような細胞へも分化し得る、いわゆる全能性のある状態であり、受精前の卵とは大きく異なったパターンで遺伝子を発現している。このような受精の前後で遺伝子発現パターンが大きく変化する現象を遺伝子発現のリプログラミングと呼ぶ。さらに、受精後は発生の進行に伴い遺伝子の発現パターンが、何らかのプログラムに従ってほぼ不可逆的に進行するが、そのメカニズムはほとんど明らかになっていない。すなわち、このような「リプログラミング→新しいプログラムの進行」の調節機構を明らかにすることを研究テーマとしている。
東京大学 先端生命科学専攻 資源生物制御学分野
教授
Tokyo University
Professor